研究開発概要
CO2含有ガスを炭素源として利用する際、従来の方法ではまず吸収液等でCO2を固定、次に脱離、続けて得られた高濃度CO2を反応基質と接触させて製品へと変換します。本プロジェクトでは省エネのため脱離を廃し、CO2の固定と変換を直結して効率的な反応系(Combined Carbon Capture and Conversion system, quad-C system)を構築し、さらに低濃度CO2の原料化(目標: ~400ppm = DAC化)への対応と、様々な原料ガスと製品への対応に取り組みます。
上記のコンセプトは、CO2を反応基質に吸収、または触媒に吸着させ、そのCO2をそのまま反応に供することで実現します。我々は、これまで主に高濃度CO2(10~40%)の除去に向けて開発されたCO2選択透過膜や、汚染物質の除去用に開発してきた層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide, LDH)に着目しました。前者はCO2の透過量増加の困難さ、LDHはCO2が汚染物質と競争的に吸着し除去性能を損なう点が課題でしたが、本プロジェクトでは逆方向の設計指針で独自のプロセス技術を開拓、反応系へのCO2供給を実現します。本プロジェクトでは、導入先で利用可能なエネルギー事情に合わせた構成を可能とし、多様な原料ガスや製品の製造に対応するモジュール化プロセスとしてquad-C 反応系を開発し、パイロット試験を行い、ライフサイクルアセスメントで炭素循環の観点から、また技術経済性分析で経済面からその性能を実証します。
本プロジェクトでは、下記5つのテーマを設定し、研究開発を推進していきます。